2014年2月28日金曜日

【書評】世界の経営学者はいま何を考えているのか―知られざるビジネスの知のフロンティ(入山 章栄著)

【評価:】(興味関心があれば読むことをおススメ)
本書は、米国大学院の経営学者である筆者が、世界レベルのビジネス研究の最前線をわかりやすく紹介し、ビジネス界の重大な「問い」は、どこまで解明されているのかエッセー形式で綴ったもの。面白いトピックのイイとこ取り感はありますが、経営学に興味を持たせるための入門書として十分楽しめます。
【ポイント】
「競争戦略」
・有名な競争戦略論(マイケル・ポーターのSCPパラダイム)は、持続的な競争優位を確保するため、優れたポジショニングをとる(①競合度が低く、新規参入が難しく、価格競争が起きにくい産業を選ぶ、②競合他社と異なる商品・サービスを提供する)差別化戦略により、ライバルとの競争を避ける守りの戦略
・近年ではグローバリゼーション等による過当競争により、競争優位は持続的でなくなってきており、攻めの戦略(新製品投入、モデルチェンジ、価格引下げ、販促活動など)が有効になる可能性

組織学習
・組織は過去の経験から学習する(Learning Curveが存在する)ことが分かっており、そのスピードは組織や産業で違い(米国の場合、学習効果の高い産業はコンピューター産業、医薬品業、石油精製業などで、低い産業は製紙業、製糸業など)
・誰が何を知っているかを知っておくトランザクティブ・メモリーを活用することが組織の記憶力を高めパフォーマンスを向上させる上で重要かも(メンバーそれぞれの専門性の深さと各人の知識を正しく把握する正確性がパフォーマンスに影響)

「イノベーション」
・知と知の組み合わせから新しい知を生み出すことであり、企業は知の幅をほどほどに広げる必要
・一方で、企業(特に事業が成功している企業ほど)、知の探索(新しい知を求める)よりも知の深化(既存の知識の改良)に傾斜しがち(コンピテンシー・トラップ)
・このため、企業は組織として知の探索と知の深化のバランスを保ち、コンピテンシー・トラップを避ける戦略・体制・ルール作り(すなわち「両利きの経営」)が重要

「ソーシャル・ネットワーク」
・人と人との親密で深い関係、『強い』結びつきが人や組織の活動の成果(便益)を高める
・一方で、むしろ『弱い』結びつきで広くネットワークを形成した方が情報伝達が効率的となり、多様で有用な情報を得られる
・人と人を繋ぐ立場・機会に恵まれた人や組織の方が年収や出世など経済的に得をする

グローバル経営」
・やや集団的な国民性を持つ人達からなる日本企業は、実はそれゆえ(集団の外との協力関係を築くのが心理的に困難なため)に海外企業との協力関係を築くのがうまくない可能性

国際起業
・起業(アントレプレナーシップ)活動は、本質的に一定の地域に集積する傾向(例:起業家と投資家が集まっているシリコンバレー)
・一方で、起業の国際化が注目され、起業後直ちに国際展開をする企業が台頭したり、ベンチャー投資家が海外事業の立ち上げに投資するようになっている
・国際化の背景には超国家コミュニティ(海外での教育等をベースに、国と国の間を頻繁に行き来し、国境をまたいで活動する起業家、投資家、グローバル企業人、エンジニア、研究者がインフォーマルなコミュニティを形成)の発展があり、人に根付いた知識やインフォーマルな情報が国を超えて循環するようになっている。そのようなコミュニティにアクセスできる方が国際展開に機会に恵まれる

リアル・オプション」
①事業計画を立てる前に、事業に関係する全ての不確実性を洗い出す
②そのうち事業に重要な外生的な不確実性を選別し、それぞれの楽観ケースと悲観ケースを想定する。その上で、各ケースでどのような戦略オプションが考えられるか検討
③段階的に投資を行う事業計画を立て、悲観ケースと楽観ケースのそれぞれで事業の収益性を評価
④事業がスタートしたら段階段階で、不確実性が低下又は高まっていることを確認(仮定は仮定に過ぎず、既定路線としてはならない)。その上で、次の戦略オプションを選択するか検討・実施

「M&A」
・買収額は経営者の心を写す鏡であり、①経営者の思い上がり、②自社をどうしても成長させたいという焦り、又は③国家を代表しているというプライドが、経営者に高い買収プレミアムを支払わせている

「コーポレート・ベンチャーキャピタル(CVC)」
事業会社がベンチャー投資を行うCVCは、企業同士が連携してイノベーションを実現する「オープン・イノベーション」戦略の一手段となりうる
・CVC投資が多い事業会社の方が企業価値が高くなる。これは投資を通じてベンチャーの持つ技術や新規事業の将来性を学ぶことが可能なため。逆にベンチャー側は事業会社から固有の施設、顧客ネットワーク、ロジスティックスといった経営資源の提供を受けられるというメリットがある。
・CVC投資はリスクも大きい。成功のために、事業会社は長期的に業界内での信用を築き上げることが重要 

「資源ベース理論 (Resource Based View)」
ある企業の経営資源に価値があり、それが希少な時、その企業は競争優位を獲得する
②その経営資源が他社には模倣不可能で、またそれを代替するものがないとき、その企業は持続的な競争優位を獲得する

2014年2月25日火曜日

【書評】人間にとって成熟とは何か (曽野 綾子著)

【評価:】(興味関心があれば読むことをおススメ)

本書は、成熟した大人になれない人間の未熟さを、長年の作家活動や国際ボランティア、キリスト教などを通じてエッセー形式で綴ったもの。豊富な経験を基にした具体的な内容の紹介や部分的に政治家・若者などに対する辛口批判が交じって主張を分かりやすいものにしているが、少なくとも成熟した大人ならば、そういう批判的な記述を直接的にするのではなく、奥ゆかしい皮肉や表現にするのだろうな、とも感じた。

第一話 正しいことだけをして生きることはできない
「社会の仕組みにおいては、いささかの悪さもできる部分が残されていて、人間は自由な意思の選択で悪を選んで後悔したり、最初から賢く選ばなかったりする自由があった方がいい。」
アラブの格言『正義はいいものだ。しかし誰も家庭ではそれを望まない』

第二話 「努力でも解決できないことがある」と知る
「人間の努力がなくてもいいわけではない。しかし努力でなにごともなし得るというわけでもない。そう思えることが、一人前の大人の状態だ」

第三話 「もっと尊敬されたい」この思いが、自分も他人も不幸にする。
「威張って、不遜で、自己中心的で、評判を恐れ、称賛を常に求め、しかも現実の行動で他罰的な人というのは、…実は不安の塊なのである」
「そういう人生の雑音には超然として楽し日を送り、日々が謙虚に満たされていて、自然にいい笑顔がこぼれるような暮らしをすることが成熟した大人の暮らしというものだ」

第四話 身内を大切にし続けることができるか
「ユダヤ人の同志は、共通の目的のために『血か、金を差し出す人』という条件がついている」
「絆は結んだ相手の、悪い運命も引き受ける覚悟をすることだ」(東日本大震災後)「もし絆が大切だと言うなら、その心の証はさしあたり瓦礫を引き受けることだろう」
「絆は二つの条件を伴う。第一は、自分に近い人との結びつきから始めることだ。親や兄弟を大切にすることだ。第二は、長い年月、継続することである。この世の仕事というもの、すべて淡々と長い年月日常的に継続してこそ本物なのである」

第五話 他愛のない会話に幸せはひそんでいる
「言葉が通じなくて少々の手違いがあっても、年寄りは、(優しい心根を持った人がいつも身近にいて、他愛のない会話を交わしたり…人生の時を共に過ごしてもらうなど)自然に愛してもらえればいいのだ」

第六話 「権利を使うのは当然」とは考えない
「使うのが当たり前、権利だから当然、という人が増えたら、結果として日本社会、日本経済はどうなるのだろう、という全体の見通しには欠けるのである」
「お世話になっていいのである。…しかしどれだけお世話になったかを見極められない人には、何の仕事もできない。
 政治はもちろん、外交も経済も学問も芸術も、すべては強烈に他社の存在を意識し、その中の小さな小さな自分を認識してこそ、初めて自分の分をわきまえ、自分が働ける適切な場を見つける」
「成熟とは、鏡を磨いてよく見えるようにすることだ」

第七話 品がある人に共通すること
「品はまず流行を追わない。…有名人に会いたがったり、サインをもらいたがったりすることもない」
「品は、群れようとする心境を自分に許さない。自分が尊敬する人、会って楽しい人を自分で選んで付き合うのが原則だが、それはお互いの人生で独自の好みを持つ人々と理解し合った上で付き合うのだ」
「品を保つということは、一人で人生を戦うことなのであろう。自分を見失わずに、誰とでも穏やかに心を開いて会話ができ、相手と同感するところと、拒否すべき点とを明確に見極め、その中にあって決して流されないことである、この姿勢を保つには、その人自身が、川の流れの中に立つ杭のようでなければならない」
「品というものは、多分に勉強によって身につく。本を読み、謙虚に他人の言動から学び、感謝を忘れず、利己的にならないことだ。受けるだけでなく、与えることは光栄だと考えていると、それだけでその人には気品が感じられるようになるものである」

第八話 「問題だらけなのが人生」とわきまえる
「人はいつでも、多分の人生の最後まで、大まかな流れには流されつつ、ほんの小さな部分では、少し意図的に目的を持って生きる方が楽である
「人生は、常に問題が続いていて当たり前だし、不足に思うことがあって当然なのだ。むしろそれが人生の重さの実感だとして、深く感謝すべきなのである」

第九話 「自分さえよければいい」という思いが未熟な大人を作る
「常識というものは、常に相手の存在を意識するところにある。相手はどうでもいい、と思うから非常識が発生する」
「総じて威張る人というのは、弱い人なのだ。…威張るという行為は、外界が語りかけて来るさまざまな本音をシャットアウトする行為である。しかし謙虚に、一人の人して誰とでも付き合うと、誰もが私にとって貴重な知識を教えてくれる」

第十話 辛くて頑張れない時は誰にでもある
「できたら諦めないほうがいい。…しかし諦めるポイントを見つけるのも、大人の知恵だ」
「しかしその場合も、十分に爽やかなに諦めることができた、という自覚は必要だ。つまりそれまで、自分なりに考え、努力し、もうぎりぎりの線までやりましたという自分への報告書はあった方がいいだろう」

第十一話 沈黙と会話を使い分ける
「一人でいること、と、人と共に在ること、とは、どちらも輝くような時間だ。沈黙と会話と、この二つは、人間の輝ける証である」
「成熟した人間になるには…沈黙と会話の、双方の達者な使い手になるほかはないのである」

第十二話 「うまみのある大人」は敵を作らない
「論理は正しいのだが、その間にうまみに欠ける人というものは世間に多い。「ひび割れ茶碗」を割らない方法(まだ水は漏っていない、しかし卓上に置く時、少しそっとしてやる方が長持ちする)などというものは規則書にも書かれていない。しかし簡単な人間性によって本能的にわかっているのが普通なのである。それは…正義を通すための初歩的な生活の技術、つまり成熟した大人の判断によるものなのである」

第十三話 存在感をはっきりさせるために服を着る
「目立たない、ということは、称賛も受けにくいが、つまり非難される要素だけは取り除くという守りの姿勢である。今の日本人には、この卑怯な姿勢がいたるところに見える」

第十四話 自分を見失わずにいるためには
「世界を意識した地理的、時間的空間に自分を置き、それ以上でもそれ以下でもない小さな自分を正当に認識できることが、実はほんとうの成熟した大人の反応なのだと思う」

第十五話 他人を理解することはできない
「世間からどう思われてもいい。人間は、確実に他人を正しく評価などできないのだから、と思えることが、多分成熟の証なのである」

第十六話 甘やかされて得することは何もない
「作品は年に関係ない。何歳であろうと、下手ではいけない。老齢の故に過大評価される風潮が、成熟しない大人ではなく、退化した人間を如実に見せつけられるようになったのは最近である」

第十七話 人はどのように自分の人生を決めるのか
「最近の若者たちの多くと私がちがうのは、彼らは人生で大きな失敗の危険を含む冒険を、決してしようとはしないのに対して、私はそうではないということだ。私はいつも人生で、自分が好きな道なら、失敗するかもしれない部分を賭けてみようと思っていた。私は失敗してずたずたになる人生を心のどこかで覚悟していたが、彼らにはそんな投げやりな点は全くないことが後でわかった」

第十八話 不純な人間の本質を理解する
「私たちはいいばかりの人でもなく、絵に描いたような悪人でもない。よくて悪い人間なのだ。…大人にならない人は、この宿命的な不順で不安定な人間の本質がよくわからないだけなのだ。私たちは相手と決定的にちがうこともなく、決定的に同一になれるわけでもない。ちがって当たり前なのだ。だから対立したこと-思想や政策に関して-は、次の選挙で争って勝てるものなら、そうすればいいが、そうでなかったら、無視して我が道を歩むことなのである」
「大切なことは、お茶をいれて、すべての些細な対立は、強靭な大人の心で流してしまえるかどうかなのだ」

2014年2月23日日曜日

白野江植物公園 Shiranoe Botaincal Garden

門司にある白野江植物公園に行ってきました。沙羅も一緒にのんびり散策するのに良いところです♪今は水仙や梅、冬牡丹や菜の花が見頃です。
Have visited Shiranoe Botanical Garden in Moji, Kitakyushu. This is a good place to stroll together with Sarah ;-) Narcissus, ume, winter peony and rape blossoms are at their best now.
























2014年2月19日水曜日

山陽国際でゴルフ③ 3rd Golf at Sanyo International

職場の同僚と7人で山口県の山陽国際ゴルフクラブで人生3回目のゴルフ。天気も比較的落ちついていて、皆で楽しくゴルフができました。が、スコアは、前半67、後半66のトータル133でした…練習あるのみ♪
I have played golf with my six colleagues at Sanyo International, Yamaguchi - my 3rd time. As the weather was relatively calm, it was fun playing together. But my score turned out 133 (67 and 66)... All I can do is practice :-)







2014年2月18日火曜日

ハッピーバレンタイン Happy Valentine

沙羅から手作りのクッキーをもらいました!でも、本人の方がいっぱい食べていたような♪
そういえば、先日北九州マラソン2014の応援に行ってきましたが、沙羅はむしろ出店していたご当地グルメに夢中でした♪
I have got handmade cookies from Sarah, but it seemed she ate them more than me;-)
Come to think of it, we have rooted for runners of Kitakyushu Marathon 2014 and Sarah was rather absorbed in local dishes coming for this festival ;-)

















2014年2月16日日曜日

長崎ランタン祭り Nagasaki Lantern Festival

長崎ランタン祭りに行ってきました。中華街である新地のみならず、町全体でランタンが飾られていて一体感があり、多くの人出がありました。デパート屋上の遊園地にも行き、沙羅大はしゃぎ!
We have been to Nagasaki Lantern Festival. There was a sense of unity because not only China Town (called Shinchi) but also the whole town were decorated by Chinese lanterns. Thus so many people came then. Afterwards, we visited an amusement spot on the top of the department store - Sarah was very frolicsome child :-)